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筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮

筋麻痺

筋麻痺は一般的には、四肢(両手、両足)などの筋肉が完全に機能を喪失していることや、感覚が鈍ってる状態をいいます。

 

例えば運動しようとしても、四肢 などに十分な力の入らない、四肢の感覚が鈍く感じる状態、またはまったく動かすことができない、感覚がまったく感じられない状態のことをいいます。


筋萎縮

筋肉がやせることを筋萎縮といいます。 筋が萎縮すると筋力も低下し、今まで出来ていたことが出来にくくなります。

 

筋肉そのものにその原因のある筋原性のものと、筋肉に運動の指令を直接伝えている運動神経の障害による場合の神経原性、なんらかの原因により長期に筋肉を使用しなかったために筋体積が減少し筋の萎縮をきたした廃用性に分けられます。

これら筋萎縮を治療するには、まず正確な原因を診断し適切な治療法を選択することが重要です。

筋原性筋萎縮

一般に筋肉の病気では肩から二の腕や腰回りから太ももにかけての筋肉(近位筋)が萎縮しやすいという特徴があります。

 

代表的な筋肉の病気には、筋ジストロフィーなどの遺伝性筋疾患、多発筋炎・皮膚筋炎などの炎症性筋疾患があります。筋原性の筋萎縮症をミオパチーとも言います。

神経原性筋萎縮

神経の病気では手足の先の筋肉(四肢の遠位筋)が萎縮しやすいという特徴があります。

 

神経原性筋萎縮の多くは末梢神経の障害により生じ、これにも外傷や圧迫によるもの、炎症性のもの、遺伝性のものなど多様な原因があります。

 

筋萎縮性側索硬化症(ALS)という徐々に全身の筋肉が萎縮する難病も神経原性筋萎縮を起こす代表的な病気です。他に脊髄性筋萎縮症(SMA)、球脊髄性筋萎縮症、若年性に発症し、20歳程で進行が止まるという珍しい平山病という病気(ただし、痩せてしまった筋肉は戻らない)もあります。神経原性の筋萎縮症をニューロパチーとも言います。

廃用性筋萎縮

筋肉や神経に病気がなくても、筋肉は使わなければ痩せてきます。このような状態を廃用性萎縮と言います。

 

また、全身の筋肉の量は加齢とともに減少していきますが、この現象はサルコペニアといわれ、高齢者におけるフレイル(虚弱)の重要な要因で、寝たきり状態になる重大な危険因子です。

 

サルコペニアを予防するためには、運動と栄養摂取が重要です。


関節拘縮

関節拘縮とは

関節の軟部組織(関節包など)の短縮により関節が可動域制限を起こす状態のこと。簡単にいうと関節が固まって動かなくなってしまうことです。

 

詳しくは手指・手・肩・肘・股・膝・足関節などが関節周囲組織の器質的変化により、関節可動域が制限された状態のことです。また関節包や関節包外の靭帯・筋・腱、腱鞘、筋膜・皮膚などの萎縮や変成が原因となって、関節の運動が制限されます。

 

拘縮の多くは骨折の後遺症、寝たきり、脳血管障害や脊髄損傷などの麻痺により、関節を長期間動かさない状態が続くことが原因です。

 

また強度な関節拘縮である「強直(きょうちょく)」とは、関節部の骨および軟骨の変形や癒着が原因で、関節可動域制限が生じている状態のことです。

 

関節拘縮は病変部位別に分類されるHoffaの分類がよく用いられます。これによると、関節性、靭帯性、筋肉性、腱性、皮膚性の5つに分類され、関節周囲にある軟部組織の短縮や炎症後の癒着により、関節可動域が障害され、拘縮を起こすと考えられています。

 

しかし現在も関節拘縮の詳細な病態は不明であり、障害されている病変部位を明確にすることは困難です。よって、臨床の場では、発生原因ごとの分類の方が有用です。

関節拘縮の原因

  1. 血流不全や退行変性によって起こり組織が滑らかさを失って拘縮するもの。
  2. 何らかの病的な原因で、関節周辺で正常な組織が線維化して拘縮するもの。
  3. 外傷などにより軟部組織が浮腫みや腫れで肥厚したりして柔軟性がなくなり拘縮するもの。(骨折・脱臼・捻挫などの長期固定や不適切なギブス固定による組織の萎縮からも起こりやすい。)
  4. 脳脊髄損傷などによる痙性麻痺により筋自体の萎縮がおこり拘縮するもの。
  5. 関節周囲線維性組織が原因で発症し、変形性関節症・肩関節周囲炎 関節リュウマチなどでも起こりやすい。
  6. 寝たきりなどの廃用性拘縮は、動かさない事によって関節周囲の線維性組織が萎縮し拘縮を起こしやすい。

【特発性の関節拘縮】

肩関節でよくみられるが、原因が不明で、すべての方向(前方屈曲、外旋、内旋動作など)の可動域制限があり、既知の疾患が除外されたものである。つまり、原因究明はできていないが、関節拘縮を生じている状態のことである。

【外傷性・術後の関節拘縮】

骨折や筋挫傷、関節包の損傷の修復過程での癒着、長期間の安静・固定期間による周囲軟部組織の短縮などが起こり、関節拘縮を起こした状態のことである。

【廃用による関節拘縮】

基本的には起居・移乗・洗顔・排泄・入浴などの基本的な生活動作の繰り返しで、筋力や関節可動域は保たれる。しかし、脳疾患や、血管疾患、筋力低下が原因で、安静・臥床時間が増えたために、本来の関節可動域を維持する生活が困難になり、多部位の関節拘縮を生じている状態のことである。


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