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ABC整体理論

【健康の定義】

健康な状態

「動的で元気な良い状態であり続けること」

これがABC整体の考える健康の定義となる。

 

動的であるとは、活動的であるということ。現在、日本では平均約10年の寝たきり生活と言われ、長生きはしているが健康とは言えない生活を送っている。「動的で元気な良い状態」を持続させること、そしてその環境を、施術を通して提供することが、私たちの考える健康のあり方である。


【自然治癒力】

人間や動物などが生まれながらにして持っている、ケガや病気を治す力・機能の総称。

手術や薬物といった処置をしなくても治る機能のことを言う。

 

自然治癒力は大別して2つあり、外傷などを追った時に傷を治す「自己再生機能」と生体外部から侵入したくるウイルスや細菌に対抗する「自己防衛機能」(免疫機能ともいう)となる。

 

この自然治癒力が働かなくなると、再生力、免疫力が低下し様々な症状が発生する原因となる。さらに、その状態が慢性化すると、病気の発症、そして死に至る。


【自然治癒力の働く状態】

この、自然治癒力が最大限発揮されるためには、ある一定の条件が必要となる。その一定条件を保つ機能が「ホメオスタシス」である 。


ホメオスタシス

恒常性維持機能。体の内外環境変化に素早く反応して、体の状態を一定に保とうとする機能の総称。そのほとんどが不随意(無意識下)で行われる。ホメオスタシスの機能は、大きく分類して3つ。

  • 自律神経による調整
  • 内分泌系による調整
  • 反射による調整

 

自律神経

「自律神経」は、脳脊髄より出る交感神経、副交感神経により全身の循環や内臓機能を調整する。交感神経は覚醒・緊張・動的な作用があり、副交感神経には睡眠・弛緩・静的な作用がある。

内分泌系

「内分泌系」は、体の内分泌器から出るホルモン物質が血中をめぐり、全身の血中物質濃度、組織、内臓機能を調整する。

反射

「反射」は、特定の刺激に対する反応として意識される事なく起こり、全身の筋肉、内臓機能を調整する。主に外的刺激からの防御の役割を果たす。骨格筋(体性)と内蔵の器官を相互的に調整する。

体性-内蔵反射 熱刺激による発汗など(内臓反射区などもここに分類)

内蔵-体性反射 内臓疾患での関連痛、筋性防御など

内蔵-内蔵反射 圧受容器反射、胃-大腸反射など

体性-体性反射 姿勢反射、表在反射、腱反射など


細胞のATP生産能力

ATP(アデノシン3リン酸・Adenosine TriPhosphate)とは、摂取した栄養素から生成される有機化合物であり、生物の生命維持に必要なエネルギー源となる。体のホメオスタシス機能が正常に働くための条件として細胞のATP生産力が関係する。

 

ATP生産は、全身の細胞内で行われ、その中でも重要な役割を果たしているのがミトコンドリアである。ATP生産は、「血液(体液)の質が良い状態」と「血液(体液)の循環が良い状態」の中で最大限発揮される。「血液(体液)の質」「血液(体液)の循環」どちらかが低下すると、ATP生産がされなくなり、細胞が死滅、自然治癒力・ホメオスタシスが低下する原因となる。


体温の維持

自然治癒力・ホメオスタシス機能が正常に働くための状態として、体温の維持がある。

正常体温は36.5℃であり、それより低体温となると、自然治癒力・ホメオスタシス機能は低下する。


【自然治癒力を上げる方法】

細胞が活性化しATPの生産が行われていれば、自然治癒力が下がる事はない。だが、日常生活では様々な環境の変化や外的刺激によって自然治癒力はどんどん低下していく。自然治癒力を維持向上するためには3つの要素がある。

  • 体液の質
  • 体液の循環
  • 自然治癒力が最大限働く環境

体液の質

体液の質は、呼吸によるO2とCO2のガス交換と、食事による栄養素の消化・吸収と排泄による老廃物の排泄・解毒により維持向上する。

「呼吸」機能

「呼吸」機能としては、酸素を吸収し二酸化炭素を排出することにより血中のO2とCO2バランスを維持向上させる。

「消化」機能

「消化」機能としては、各消化器官が働き体内に取り込みやすい形に消化分解する必要がある。蠕動運動、消化液分泌などが主な働きとなる。

「吸収」機能

「吸収」機能としては、栄養素のバランスが重要となる。5大栄養素の摂取バランスが乱れると、吸収の際に血中栄養素濃度のバランスが悪くなり、体に負荷をかけることとなる。代表的なものが、糖質過剰摂取時のインスリン分泌などである。また、食事に含まれる有害物質も体に負荷をかける要因となる。代表的な有害物質は、アルコール、カフェイン、添加物、科学調味料などである。

「排泄」機能

「排泄」機能としては、消化吸収後の食べカス、エネルギー代謝後の物質(尿酸・疲労物質など)、体内の有害物質、余分な水分などを排泄する能力。


体液の循環

体液の循環は、血液、リンパ液、組織液、その他(脳脊髄液・体腔液など)があり、その循環は、心肺機能(動脈系)と筋ポンプ作用(静脈・リンパ系)によるものが主な経路となる。その他、細胞浸透圧などがある。

 

体液の循環を大きく機能改善させるもっとも効率のよい方法は「運動」である。

ただし、運動は身体への負荷にもなるため、体調や年齢などに応じた適切な運動を行う必要がある。次点に、入浴・マッサージ・整体などの外的刺激による循環促進法がある。


自然治癒力が最大限働く環境

上記の、体液の循環と体液の質が良い状態であることが前提条件。その上で、もっとも自然治癒力が最大限働く環境としては「睡眠」である。

睡眠

「睡眠」の作用としては、成長ホルモンの分泌、副交感神経優位による筋肉弛緩・内臓機能の亢進、重力の解放による循環機能促進、脳・神経系の回復、外的刺激の軽減(視覚、平衡覚、位地覚、運動刺激など)。これらの作用で、自然治癒力が最大限働ける環境となり、「自己再生機能」と「自己防衛機能(免疫機能)」が向上する。

 

日常生活に置き換えると、適度な運動、適切な栄養価の食事、質の高い睡眠を維持することが、自然治癒力を維持向上させ、健康=「動的で元気な良い状態であり続ける」を実現する方法であると言える。


・病気とは

病気で調子が悪い

病気には症状、状態、部位、要因などで様々あるが、ABC整体の考える病気とは下記の機序で起こるものを指す。

 

ATP生産低下→細胞の不活性→各種機能低下→ホメオスタシス低下→自然治癒力の低下→症状の発生→病気の進行→活動の停止(死)

 

このプロセスは、体のどの場所、どの器官でも起こり得る可能性があり。必ずこの機序をたどる。例えば、肩の筋肉で起きれば肩こり→五十肩、腰椎で起これば椎間板の柔軟性低下→ヘルニア、胃で起これば胃の不調→胃潰瘍→胃ガンなどとなりうる。

 (※注意 先天的、遺伝的な疾患、外傷などについてはその限りではない。)


【ホメオスタシスの低下】

病気の大きな分岐点にホメオスタシスの低下がある。ホメオスタシスが低下した状態が続くと、様々な病気と診断されることが多い。ホメオスタシスを低下させる原因は主に「細胞の質が悪い」ことと「細胞への循環が悪い」ことがある。

細胞の質が悪い

細胞は、たんぱく質、脂質、炭水化物、その他微量の物質(ビタミン、ミネラル)で構成され、生命活動が行われている。病気の原因としては、その細胞に対する必要な栄養素が足りないことで起こる。各細胞で必要な栄養素が違うので、足りない(もしくは過剰な)栄養摂取の結果、様々な病気の発生要因となる。また、必要な栄養素は摂取しているが消化吸収機能が低下することで、結果的に体内に栄養素が吸収できず、細胞の質が低下することもある。

 

細胞の質を悪くするもう一つの原因は、有害物質である。有害物質は、細胞の酸化を早めるか、もしくは必要な栄養素を奪うなど、細胞にとってマイナスの働きをする。また、肝臓による解毒作用や排泄作用がうまく働かないことで、有害物質が体内に長くとどまり、細胞の質を低下させることもある。

細胞への循環が悪い

細胞への循環が悪いと、栄養素や酸素が十分であるにもかかわらず、全身の隅々の細胞まで運ばれないことで、結果的に各器官が正常な働きができない状態となる。細胞への循環が悪くなる要因としては様々あるが、主に「運動不足」「体のゆがみ」による循環の低下がある。私たちの整体施術により、改善が期待できるのは、この「体のゆがみ」による循環の低下を軽減することにある。

 

「運動不足」については、前記のとおり、運動をすることで心肺機能(動脈系)と筋ポンプ作用(静脈・リンパ系)の促進が期待できるが、それができていないことにより、細胞への循環が悪くなっている状態である。ここでいう運動は、ランニングやスポーツなどの積極的運動だけでなく、日常動作の運動も含まれる。PC作業や、事務作業に従事する人が多い現代では、慢性的な運動不足が懸念されている。

 

「体のゆがみ」による循環の低下については、主に2つある。

  • 生理学的な問題→全身
  • 解剖学的な問題→部分

生理学的な問題は、前記した「反射」によっておこる。主に全身の筋骨格(体壁の反射問題)のゆがみが発生し、血管やリンパなどの循環経路が阻害されることにより、細胞への循環の低下が発生する。解剖学的な問題は、おもに筋骨格系組織に傷や変性が起きることにより、その部分の循環が物理的に阻害されることで起こる。

 

この、生理学的・解剖学的な循環低下と症状発生・病気のプロセスについての詳細は後述する。


【未病と病気の違い】

ATP生産低下からホメオスタシスの低下が起こり、結果病気となると定義しているが、そのプロセスのどの段階からが病気と呼べるのだろうか。現代の医学でもその境は曖昧となっており、様々な病気が新たに発見されたり、「~症候群」(はっきりした原因は不明だが、いつも必ず幾つかの症状が伴ってあらわれる時、病名に準じて使う医学用語)といった定義もされてきている。ここでは、病気と未病について下記のように分類をする。

未病とは「病名がない状態」

おもに、自覚症状はあるが病院に行っても原因不明や診断名がつかないものを指す。

  •  だるい 重い しびれ 痛み 麻痺 ◯◯症候群 不定愁訴

病気とは「病名がついている」状態

  • 炎症 ◯◯炎
  • 組織損傷 外傷、潰瘍
  • 組織変性 変形性関節症、ガンなど

私たちが対応する患者は、おもに未病の状態の方が中心となる。未病は病気の1歩手前の状態であるため、適切な施術と健康アドバイスにより、病気を未然に防げる可能性がある。私たちは、「予防」を提供できる数少ない職業であると言える。


【症状発生・病気が起こるプロセス】

人間の体はどのようなプロセスで、症状発生・病気が起こってくるのか。そのメカニズムについて、詳細を解説する。

生理学的問題

0. 日々の生活の疲れが自然治癒力よりも上回る。

1. 疲労物質は内臓によって処理されるため、まずは内臓の疲労が高まる。

2. 身体は内臓の負荷を少しでも和らげるため内臓体壁反射を使い、内臓がより働きやすい環境を作り始める。

3. 反射は前傾姿勢優位となるため、頚椎に負担がかかり自律神経系の歪みが発生。【全体のゆがみ】

4. さらに前傾姿勢のゆがみが悪くなるので、バランスを取るため足から筋肉が緊張し、後方へ重心を移動。【縦方向のゆがみ】

5. 重力の負荷、生活の負荷がかかり続けることにより、その負荷を補正するため身体の別の部分に負荷が移る

6. 負荷が大きくなると筋肉などが引きつり固くなるため、コリなどの筋肉の過緊張が現れ体液の循環不全が引き起こる。

7. 重力の負荷、生活の負荷を助けるために筋肉は過緊張を強いられる。その状態で日々の生活を送るために普段良く使う軟部組織に損傷が起こる。

 8. この期間が長期間続く事で構造的なゆがみに移行していく。

解剖学的問題

9. 長期的に負荷のかかった軟部組織はカルシウム沈着や癒着が起こり関節などの可動域減少が引き起こる。

10. その部分の更なる体液の循環不全が起こり体のゆがみは慢性的なものへと変化する。

11. 慢性的になればなるほど所謂老化現象が進み、症状の改善までに時間がかかる。

これら2つのゆがみは便宜上、独立して存在するものとして考えるが、術者のレベルが上がれば生理学的問題または解剖学的問題のどちらを施術しても、これら両方が同時に治っていく現象が起こる。

 

まだ術者のレベルが低いうちは無理せず一つ一つ解決していく事が確実に患者さんを回復へと導く方法である。そして、最終的に病的な状態に進行していく。

病的問題

12. 慢性的な状態がさらに続くと、細胞の酸化が著しく起こり病的な状態へと進行する。炎症、変形、潰瘍、瘢痕化などが進み、状況に応じて薬物療法や手術療法などの処置が必要になる。

ここでいう病的問題は、必ずしも未病と病気を区別するものではない。解剖学的問題の状態で、医療機関の診断を受けると「石灰沈着性関節炎」などの診断を受けることもある。


・ABC整体について

【絶対法則】

絶対法則 : 身体の損傷部位は自らの自然治癒力が治す

 

自然治癒力が働く条件=身体の体液が十分な質があり滞りなく循環できる状態

          =正常なATP生産が発揮できる状態

 

細胞が必要とする栄養素は各々体液をかえして供給される。しっかりとした栄養素が運ばれた細胞は本来の働き(=ATP生産能力)を取り戻し、症状回復へと導く。

※以上「疲労回復整体 スタートアップ教科書」から引用

ABC整体