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床ずれにマッサージは有効です!

床ずれへのアプローチ

寝たきりの怖さ

寝たきりの怖さ

寝たきりになるとさまざまな弊害がありますが、なかでも最も怖 いのが褥瘡すなわち床ずれです。

 

長期臥床、血行不良、酸素栄 養不足、体力低下、接触面の圧迫により、床ずれは形成されていきます。悪循環に陥ると、レベルが低いのでなかなか治癒しないどころか傷口からの感染により敗血症を引き起こし、時に死へと至らしめます。

 

重力が特にかかる体の下側(特に骨の出ている部分)では床と骨の間の筋肉に極端に圧力が加わります。後頭部、肩甲骨下部、仙骨部、踵部は他に比べて 圧力が増大されており、その部分の筋肉には血行が一段と不足しがちになります。

 

血行不良が続き組織が破壊されていきます。床ずれは部分的血行不良の最たるものです。床ずれのひどい患者ではこぶし大にまで組織がえぐれて白い骨膜まで見えています。ま た腐臭を放ち浸潤液で覆われてしまっています。


床ずれの対処法

床ずれにマッサージは有効です。

床ずれ(褥瘡)は長時間、身体の同じ部位に圧力を加え続けると発生します。脂肪組織や周りの細胞が死んでしまう(壊死)ことによって皮膚がめくれ、かなり痛みが伴う症状になります。

 

寝たきりの方は自分で寝返り(体位変換)が出来ないので、どうしても同じところに圧が加わります。だいたい2時間、同じ場所に圧が加わると床ずれが発祥すると言われているます。

 

元気な方は座っていて同じ場所に圧が加わっても、お尻が痛くなると足を組み替えたり、姿勢を変えることによって同じ場所に圧が加わらないように(除圧)無意識のうちにしています。ところが、どうしても寝たきりの方は自分で身体を動かすのが難しいので床ずれが発症しやすいのです。

床ずれのできやすい箇所

床ずれが発症しやすい部位は骨がゴツゴツして脂肪や筋肉が薄い層です。腰の仙骨部は仰向けで寝ていて一番体重が乗るので、どうしても床ずれが発症しやすい場所です。他には後頭部、肩甲骨、足のくるぶしなどが発祥しやすい部位としてよく出てきます。

 

床ずれは大きく4段階に分かれています。1、2の段階の初期症状であればマッサージは有効です。同じ姿勢で寝ているとどうしても圧が集中しやすいので、マッサージをするときは姿勢を変えていただきます。そして背中をさする程度の軽いマッサージをすることにより筋肉の緊張がほぐれたり、血行不良による栄養状態が悪くなっているので、傷のほうに血流を促すようなマッサージをすると有効です。

 

どうしても長時間、仰向けで寝ていると背中の方は蒸れてきますので、皮膚の状態があまり清潔でない状態が多いです。新鮮な空気を流して皮膚を清潔な状態にし、湿気をとるという意味でも姿勢を変えてマッサージをするのことはとても有効です。

 

床ずれの予防は同じ部分を長時間圧迫をしないことが一番の予防になります。

  • 起きている時間をなるべく長くする。
  • 一人で座れるときは背もたれやクッションを使って座る機会をつくる。
  • 座る姿勢が取れない場合は身体の向きをこまめに変える。

床ずれはこうすれば治る

関節リラクゼーションテクニック

私たち誠灸マッサージ師が床ずれの患者に対しどうアプローチしていくのか。私たちはその部に直接施術を決して行いません。

 

まず下肢の関節リラクゼーションテクニッ クで血行促進を行います。このテクニックを行えば、下肢のみの血行促進だけでなく体幹腹腔内部の血行促進にもつながります。上肢は呼吸リハビリとして上肢の関節リラクゼーションテクニックで肩甲骨をしっかり動かし、背部筋群、肋骨周囲の筋群のリラクゼーション・機能回復を行い、少しでも酸素が体に供給できるように施術を行います 。

 

そして良肢位の保持テク ニックで重力の分散化を図ります。

床ずれレベルの患者は訪問看護師がかかわっているはずですので、連絡を取り合うようにして常に情報交換するようにしていきたいものです。

 

過去のケースで、壊死を起こしている部分があるほどのステージIVの患者でも、徐々に出血が見られるようになってます。出血があったということは血行の改善があった証で、これから筋肉部の回復が始まります。肉が盛りがり、浸潤液も少なくなり、大きく口を開いた皮層部も狭くなっていき、やがて床ずれ部はふさがります。

 

リハビリを並行することにより、改善のスピードが一段と上がってくきます。

傷がふさがる頃には患者のレベルも上がり、看護師からの評価も上がります。


関節リラクゼーションテクニックによる治癒のプロセス

床ずれステージIVの患者①
ステージIVの患者
床ずれステージIVの患者②
徐々に傷口が狭くなっていく
床ずれステージIVの患者③
傷口がふさがる